A Bigger Bang
- Artist : Rolling Stones
- Released : September,2005
- Producer: Don Was/Grimmer Twins
| 1. ラフ・ジャスティス |
| 2. スローで行こう |
| 3. イット・ウォント・テイク・ロング |
| 4. レイン・フォール・ダウン |
| 5. ストリーツ・オブ・ラヴ |
| 6. バック・オブ・マイ・ハンド |
| 7. 彼女の視線 |
| 8. ビゲスト・ミステイク |
| 9. 虚しい気持ち |
| 10. Oh No、ノット・ユー・アゲイン |
| 11. デンジャラス・ビューティー |
| 12. 孤独な旅人 |
| 13. スウィート・ネオ・コン |
| 14. 猫とお前と |
| 15. ドライヴィング・トゥー・ファスト |
| 16. インフェミー |
これの前に出されたアルバム『Bridges To Babylon』はCD以降のストーンズのアルバムの中では最高傑作と言っても過言ではない位、魅力的なアルバムだった。ただし、ミック・ジャガーとキース・リチャーズがお互いにソロでCDを出す予定を変更してのリリースであったので、ミック・ジャガー主導とキース・リチャーズ主導と、曲ごとに明確に分かれてしまっていたことが少々ストーンズファンとしては不満の残る内容ではあった。バンドサウンドとしてのローリング・ストーンズの終着点はさらにその前の作品『Voodoo Lounge』だと思っていた。しかし、バンドサウンドとなるとアットホームな感じで緊張感がなくなり少し緩慢な印象を受ける。それがいい方にでているのは『Exile On Main St.』というストーンズの中でも最高峰のアルバムがあるが到底追いつくことは不可能である。
さて、『Bridges To Babylon』以降、ストーンズはオリジナルアルバムを出さなくなり次に出したのが結成40周年記念アルバム『Forty Licks』となり、そのアルバム発売後に世界ツアーを行ったが、今まで行った事のない国まで廻ったツアーであったので、いよいよ引退前に世界旅行でもしたのかと思っていた。
ところが、2005年の初頭であったと思うがローリング・ストーンズのニューレコーディングの噂が飛び込んできた。とても、ミックとキースが仲良く作るとは思えなかったが、前作『Bridges To Babylon』路線であるならば、新機軸を発展させた形となって楽しみに思えた。が、蓋を開けてみると完全に予想を裏切られた。しかも、かなりいい方向に裏切られた。
昨今のアルバムはミックとキースのお互いに仲のよいミュージシャンを連れてきて大所帯でアルバムをレコーディングしている風景が思い浮かべられる。また、ミックとキースが別々に作りあげている曲も多いためキースが欠席する曲も少なからずあった。しかし、このアルバムをどの曲を聴いてもミックとキースががっぷりと組んで作り上げてきたのがよく分かる曲ばかりである。しかも、ゲストミュージシャンはほとんど起用されていない。アル中でロン・ウッドがしばらく参加できなかったためオリジナルストーンズのミック、キース、チャーリーだけの曲もある。ところが、それだけメンバーを絞っていてもどの曲も奇跡と言っていい位、音に厚みや深みがある。個人的にはロン・ウッドは大好きだがロン・ウッドがいない分キースが大活躍してロン・ウッドが奏でるさわやかなソロが少ないためどの曲もタイトで緊張感のあるど真ん中のロックである。先に書いたとおりローリングストーンズの場合、バンドを重視したサウンドとなると緊張感が薄くなりだれてしまうパートも出てくるのだが、このアルバムは違った。各曲の時間も『Streets Of Love』以外はどれも5分をきっており、3分か4分でシンプルにまとめられている。それ故に16曲もあるが、だれることなく一気に聴くことができる。ミックとキースの仲の良さはキースのヴォーカル曲に顕著にあらわれている。通常ロン・ウッドがキースの曲に味付けをする役目をするのだが、ロン・ウッドの代わりにミックが『This Place Is Empty』でスライド・ギターを弾いている。ミックと対等にキースのギターがヴォーカルのように歌い続ける『Oh No ,Not You Again』というストーンズ得意パターンのサウンドもこのアルバムに収録されているが、それと対照的に逆にキースヴォーカルのラストの曲『Infamy』でキースのヴォーカルと対等にミックのブルースハープが歌い続ける。これほどまでにキースのヴォーカル曲にミックが協力するのは『Happy』以来ではないだろうか。
最初はこのアルバムは前作と同じくミックとキースが2手に分かれてミックの新し物好きのテクノロジーサウンドが主体的となるか、もう少しバラードや長めの曲で大げさに構成された晩年のロックバンドのようなサウンドになるかのいづれかだと思っていた。しかし、そんな予想を大きくいい方向に裏切られた。かなりタイトでかっこいいロックアルバムである。60年代後半~70年代前半の黄金期と比較するのは時代背景が違うのでナンセンスであるが、それらのアルバムとはまた、一味違うが肩を並べる位、かっこいいアルバムとなっている。
キース・リチャーズが昔ある雑誌のインタヴューの中で「俺たちのアルバムは何故か発売してから数年経ってから価値が認められる」というような意味の発言があった。確かにそういった傾向があって『Bridges To Babylon』なんかは実は最初聞いた時は流行のテクノロジーを追い過ぎていて敬遠していたが、後年傑作だと感じる事ようになってきた。しかし、このアルバムは聴いてすぐから傑作と感じられた。聴いてすぐにいいアルバムというのはすぐに飽きるものではあるが、ストーンズは一度はまると飽きることはない
何かだらだらと書いてしまっているが、とにかくこのアルバムはいいアルバムである。最後に敢えて、日本語の曲タイトルを紹介しているが、日本独自の曲タイトルがつくのも久しぶりで面白いしなつかしい。2曲目の『スローで行こう』なんて、オープニングのドラミングが『ワイルドで行こう』を想起するところからつけられたと思われる安易なタイトルで、それがなんかいいんだよね。日本は最近少なくなったが日本独自のタイトルをつける風習があったのだから続けてほしい。
しつこいようだが本当にいいアルバムである。3の『It Won't Take Long』のキース独特のギター音のルーズだけどタイトなオープニングやミュージックビデオやコンサートでしつこく俺がギターを弾いているんだとミックがアピールしてくる4の『Rain Fall Down』、超お気に入りのラブバラード『Streets Of Love』などなど本当は一曲一曲解説したい所だが、とにかくいいってことを言い続けるだけなのでこの辺でやめておく。ミックとキースがどっぷりと組むとこんないいサウンドが生まれるんだということを改めて知らされた。ファンはいつも仲が悪いのではないかと心配するが40年以上も連れ添って一緒に仕事をしている。60を超えても定年退職せず一緒の仲間で仕事をする。自分に置き換えてみてありえるだろうか。今の職場の人とそんなに長期に渡ってイガミ合わずに仕事を続けることができるだろうか。今の時代、夫婦だって結婚後一週間もたたないうちに別れるケースが多いというのに・・・。その事実だけでも奇跡だ。
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