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オアシス『ディグ・アウト・ユア・ソウル』アルバム解説

Dig Out Your Soul

発売日:2008年10月6日

プロデューサー:デイブ・サーディー

最高位:イギリス-1位(80万枚) 日本-2位(19万枚) アメリカ-5位(12万枚)

オアシス7枚目のスタジオアルバム。今回はアメリカマーケットにも力を入れてライブ活動を行った結果、アメリカのビルボードチャートでも久々のトップ5入りを果たしたが、セールスは日本よりも悪くなっている。

最近はアルバムを出せばすぐにファーストアルバム『オアシス 』と比較されてしまい、当のノエル・ギャラガーまでもファーストと比較して語るようになってきた。このアルバムに関してはノエル曰くファーストの次にいい出来だそうだ(毎回そんな事を言っているような気もするが・・・)。内容も全編にわたってこれまで以上にロック色の濃い内容となっており、一番最初に聞いた時は、休まる曲がなく疲れも覚えた。

しかし、何度か耳にするうちに、今まで以上に重低音が強調された、ぶ厚い曲調が心地よくなってきて、これはファーストに次ぐロックアルバムかと思った時もあったが、こうして改めて1曲1曲聴いてみると、やはり、ファーストアルバムには遠く及ばない平凡なアルバムに感じてしまう。

内容といえば、ギャラガー兄弟はビートルズの曲を繰り返し繰り返しリメイクしているような感じで、今回も相変わらずビートルズのパクりというかビートルズ以外の曲からも多く引用しているようで、どこかで聞いた曲ばかりで聞くほどに、これは誰の歌のパクり?という方に興味を持ってしまい雑念なしでは鑑賞できない。ただ、それはそれとして1曲目の出だしの音の期待感というか高揚感、ドキドキ感はさすがで、そのまま一気に4曲目の『The Shock of The Lightning』まで聞かせてしまうのはさすがだ。そして、最初は印象が薄かったが、日本のアニメの主題歌になったり、日本のTV番組で歌ったりシングルカットもされた7曲目の『Falling Down』も秀逸。また、パクりとは言え、どの曲も音の懲り方は半端ではなく、それが強調されるわけでもなく、さりげない味付けとして聞かせているのがノエル・ギャラガーの一番クールな所で、その味付けが曲に深みを加えていて他のロックバンドと一線を画すのがオアシスサウンドの特徴ともなっている。

★★☆(2.5点)

1.Bag It Up ・・・ ★★★★(4点)

オープニングはミドル・テンポながらズンズンズンズン重低音で迫ってくるかっこいい『Bag It Up』。リアムのヴォーカルもポップな高音は極力抑えて、低音でせまってくるかっこいいヴォーカル。曲の最後の方の喧騒はオアシスも録音したことがあるローリング・ストーンズの『ストリート・ファイティング・マン』のエンディングの喧騒にも似ている。

2.The Turning ・・・ ★★★☆(3.5点)

じわじわくるオープニングから期待がこみあげてくるナンバー。もちろんこのかっこよさはノエル・ギャラガー。1曲目と同じく低音が実に効いている。しかし、ノエル・ギャラガーの悪い癖でこちらはクリフ・リチャードの『デヴィル・ウーマン』をパクッている。ノエル・ギャラガーも正直に昔の名曲を下敷きに歌を作るという作曲法を認めてしまえばいいのに。その往生際の悪さがいい曲もダメにしてしまっている。エンディングのピアノはビートルズの『ディア・プルーデンス』のオープニングに似ている。

3.Waiting for the Rapture ・・・ ★★★☆(3.5点)

3曲目で早くもヴォーカルをとるノエル・ギャラガー。この暗さはドアーズの『Five To One』っぽかったりビートルズっぽかったりする。なんて、どうしても何のパクりか気になってしまうが、かっこいい歌だ。

4.The Shock of the Lightning ・・・ ★★★★☆(4.5点)

非の打ちどころのないノエル作曲のファーストシングルトラック。ストレートなロックサウンドで、上空を爆撃機が飛んでいるような重たさもあって、今までのオアシスとの曲調とも違った印象を受ける。周囲が激しく演奏する中、直立不動で歌うリアム・ギャラガーを想像するだけでも楽しくなってくる。よく聞くと控えめながら随所にエフェクトを使っていて、曲の構成から何から何まで凝った作りとなっている。特にエンディングの余韻はそのままエンドレスにオープニングへとつながっていく。ミュージックビデオのオープニングでローリング・ストーンズのアルバム『Hot Rocks, 1964-1971 』のジャケットが分かりやすく引用されているのが面白い。

5.I'm Outta Time ・・・ ★★(2点)

1曲目から4曲目まで、息絶え絶えに轟音で突っ走ってきてようやくここで休憩。がらっと曲調が変わったと思いきやリアムの作詞作曲。ジョン・レノンの『ジェラス・ガイ』みたいな優しい歌。こちらはしっかりとジョン・レノンへの愛を表明してジョン・レノンの生声まで終盤に入れてしまっているという分かりやすさ。このアルバムを引っ提げてのツアーでも、ジョン・レノン風のサングラスにジョン・レノン風のぶっといもみあげ、髪型だけはなぜか坊主だったが、ジョン・レノンに対する愛情を素直に現していた。しかし、こうしたリアムの趣味全開のせいかイギリスチャートでは15年振りにトップ10圏内を逃して12位にとどまった。

6.(Get Off Your) High Horse Lady ・・・ ★★(2点)

ノエル作曲のまたまたどこかで聴いたようなビートルズっぽいサウンド。スピーカーマイクを通じての歌声が印象的。歌の余韻を残したまま海岸沿いを歩き、そのまま次の曲へと繋がる演出となっている。

7.Falling Down ・・・ ★★★★(4点)

この曲でノエルの曲は最後。と、いうことで、ミニアルバム『ディグ・アウト・ユア・ソウル』はこの曲で終了です!?最初は暗めの曲で、どうという印象はなかったが、アニメ『東のエデン』のオープニング曲に選ばれたり、ミュージック・ステーション出演時には目立とうと思ってノエルが自分のヴォーカル曲やっちゃったよって思っていたら、イギリスでこのアルバムの3rdシングルとして選ばれたりしたもんだから、嫌でも注目する機会が増えてしまって、気づいたらこのアルバム中でもかなり好きな曲になってしまっていた。前曲から引きずった、かもめの鳴き声のようなキュンキュンという音と激しいドラミングがビートルズの『トゥモロー・ネバー・ノウズ』によく似ているけど、見事にリメイクされていて、哀愁をおびながらもサビで開放してくれる曲の構成が秀逸な作品となっている。少し余計な話だが、やはりオアシスのヴォーカルはリアムじゃなければと、この曲を聴いて改めて感じる。ノエルが歌うとどうしても哀愁が漂ってしまって、アルバム中1、2曲ならいい味わいを出すが、全編このヴォーカルだとちょっとね。やはり、リアムのポップなヴォーカルで支配されていなければオアシスのアルバムは活かされないと感じさせられる。

8.To Be Where There's Life ・・・ ★★★(3点)

ノエルにとってはこの後の曲はボーナストラックか?この曲はゲム・アーチャーが作った曲。インド楽器的な音がBGMとして全編に入っていてリアムがゆったりと歌う。このインド音楽的な要素はビートルズではジョージ・ハリスンがのめり込んでいて、ジョンとポールに対するジョージ・ハリスンの関係とオーバーラップしてしまう。とはいえこのアルバムを引っ提げてのツアーでもしっかり取り上げられており、ノエルもコーラスをしているので、ギャラガー兄弟も気に入っているのだろう。

9.Ain't Got Nothin' ・・・ ★★(2点

リアム作曲。こちらもジョン・レノンっぽいサウンド。サウンド的にはオアシスらしくよく聞くと凝ったBGMを入れてはいるが、全体的な印象としては短くて単調な感じ。

10.The Nature of Reality ・・・ ★★(2点

アンディ・ベルの曲。アンディ・ベルの名にちなんで?鈴の音と終盤のギターソロが多少印象的だが、全体的にゆったりとした地味な曲。

11.Soldier On ・・・ ★★☆(2.5点

ラストはリアムの曲。ラストにふさわしく哀愁が漂う。力強い重低音を響かせ、リアムの声が残響として鳴り響く。

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