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ローリング・ストーンズ全曲解説 CD『イッツ・オンリー・ロックン・ロール』

It's Only Rock 'N Roll

発売日:1974年10月

プロデューサー:ザ・グリマー・ツインズ

発売時年令:ミック・ジャガー(31) キース・リチャーズ(30) チャーリー・ワッツ(33) ビル・ワイマン(37) ミック・テイラー(25)

最高位:イギリス-第2位 アメリカ-第1位

★★★★(4点)

1968年の『ベガーズ・バンケット』から1973年の『山羊の頭のスープ』まで正にストーンズの黄金期を共に築いてきたジミー・ミラーのプロデュースから卒業し、このアルバムからミックとキースによるセルフプロデュース(ユニット名『ザ・グリマー・ツインズ』)となった。

それだけに気合が入っていたのか6分を越すような大作を3曲も収録したり、楽曲のレベルの向上も目指しており、曲によってはシンセサイザーを導入したり、天才ギタリストのミック・テイラーのギターソロもふんだんに取り入れている。

しかし、セルフプロデュースのせいか全体的にまとまりの無さというかダラダラとした感じも印象として受けてしまう所も少なからずあり、ジミー・ミラーがプロデュースしていたらもう少しタイトになっていいアルバムにもなっていたような気もしないでもない。

アルバムを追う毎に名演を見せてきたミック・テイラーだが、どれだけ活躍しても、キースの代わりにストーンズサウンドを支えても、作詞作曲には名前を入れてもらえず、バンドを抜けることとなり、ストーンズの今後のサウンド面で非常に惜しい結果となったが、遅かれ早かれ、そうなる運命だろう。

1.If You Can't Rock Me ・・・ ★★★★☆(4.5点)

チャーリーのドラムと共にキースの荒っぽいギターリフで始まるアルバムのオープニングを飾るにふさわしい曲。バンドメンバー全員が激しくとんがっている(ベースもキースが弾いているようだが)。シングルカットされていないので印象が薄くなってしまうが、ローリング・ストーンズ独特の高揚感溢れるロックサウンドで文句なしにかっこいい。基本的にキースのギターが大勢を占めるが、キースでは真似できない?ミック・テイラーの高速ギターが随所に入ってきて躍動感をつけている。この喧騒感とまとまりの無さがジミー・ミラーを離れてセルフ・プロデュースになった影響によるものと思われるが、それはそれでよしとしよう。

2.Ain't To Proud To Beg / Norman Whitfield ; Edward Holland,Jr. ・・・ ★★★★★(5点)

US 34枚目シングル チャート最高位 第17位

70年代に入ってもアルバム1枚に1曲はカバー曲を入れることが多かったストーンズ。カバー曲の選曲とロックサウンドに変化させるアレンジは素晴らしく、楽しみでもある。この曲は何曲もカバーしているザ・テンプテーションズの曲。割とオリジナルに忠実に進行する。チャーリーのドラムに合わせてバーンと鳴らすだけのキースのギターの独特の間での入り方がかっこいい。それに続くビリー・プレストンのキーボードや地味ながらも主張するエド・リーチのカウベルも効いている。終盤どんどん高揚してくるリズム隊の演出も冴えている。でも、やっぱりキース。先のギターもいいが、出だしのコーラスでの音痴なキース、中盤に入って下手うまなギターソロを炸裂させるキースがたまらない。ミック・ジャガーは明るく歌っているが、歌の内容は別れようとしている彼女をプライドを捨てて必死に引き止めようとする情けない男の姿。妙に好感をもってしまう。彼女と喧嘩した時に・・・。

3.It's Only Rock'n Roll (But I Like It) ・・・ ★★★★★(5点)

US 33枚目シングル チャート最高位 第16位

UK 20枚目シングル チャート最高位 第10位

ローリング・ストーンズ加入前のロン・ウッドのソロ・セッションで生まれた作品。ロン・ウッドがギター、ウィリー・ウィークスがベース、ケニー・ジョーンズがドラム、デビッド・ボウイがコーラスをつけた曲をミックとキースが持ち帰って自分たちのヴォーカルとギターを大きく被せてしまった。かろうじてインスピレーションとしてロン・ウッドの名前が見られるが、ミックはいくつもヴォーカルを被せて、キースも個性的なギターを何本か被せてオリジナルの音を目立たなくしてしまっている。しかも、アルバムタイトルもこの曲にして、このアルバム最初のシングルもこの曲。元が他人の曲なのに・・・。チャーリーやビルはこの曲には参加していない。ロン・ウッドは今でも時々気の効いた曲をストーンズに提供しているが、加入前のこの曲はその最たるものだ。ミックとキースの奥で聴かれるアコギもなかなか渋いし、この曲の聴きどころは随所にあるが、なんと言っても力強いサビの歌詞だろう「I know it's only rock'n roll(俺だってただのロックンロールだってことは分かってる)」と言ったすぐに「But I like it(でも俺はそいつが好きなんだ)」と歌うカッコよさ。これを大勢のヴォーカルでシャウトするサビは本当に堪らない。聞き込めば聞き込むほどよくなっていく。

4.Till the Next Goodbye ・・・ ★★★☆(3.5点)

前曲の騒々しさから一変して瑞々しい清らかなアコギが響き渡る、このアルバムの中で最高の演出だ。70年代の秋の早朝の喫茶店に似合いそうなフォークソング。前作『山羊の頭のスープ』収録のヒット曲『悲しみのアンジー』から繋がるサウンド。ミック・ジャガーとミック・テイラーで作られたような感じで、しみじみとこみ上げるバラードだが、よく聞くと単調な繰り返しで、かったるさも感じることもあったが、リマスターでのフォークとスティールギターの美しい音色に再び参ってしまった。

5.Time Waits for No One ・・・ ★★★☆(3.5点)

「時は誰のことも待ってくれない 俺さえも待ってくれない」かなり詩的で哀愁の漂う歌である。時を刻むかのようなドラム演奏に始まり、流れ星のように輝く音やアコースティック・ギターの入り、曲自体もドラマティックに展開していく。後半からセッションとなるが、1971年発売の『スティッキー・フィンガーズ』の『キャン・ユー・ヒア・ミー・ノッキング』ほどかみ合ってはいない。ミック・テイラーが長々と名演を披露するが、作詞作曲者はジャガー・リチャーズのみとなっている。ミック・テイラーの不満は募りこのアルバムを最後に脱退した。さよならミック・テイラー。中盤から後半にかけて伴奏に合わせてリズムを歌うミック・ジャガーのヴォーカルが雑すぎる。

6.Luxury ・・・ ★★★(3点)

1~3曲目で突っ走り4曲目で落ち着いて5曲目に至っては暗くなってしまったが、この6曲目で一気に明るくテンポアップ。このアルバム中唯一の日本語タイトル『快楽の奴隷』がつけられている。レゲエの要素も取り入れた明るいロックナンバーだが、内容は生活のために一生懸命働く労働者階級が、ただただ愚痴をこぼしている内容。

7.Dance Little Sister ・・・ ★★★★(4点)

ピアノのイアン・スチュアートも含めたオリジナルの6人編成の良品。ギターリフといいギターソロといい自然と体が動く。ミックのヴォーカルもキースのコーラスもきまっている。小劇場のライブで是非演ってほしい。

8.If You Really Want to Be My Friend ・・・ ★★★★(4点)

ミック・ジャガーのかなりの意欲作とも言えるソウルナンバー。世間的にはあまり評価がいいとは言えないが個人的にはかなり好きな曲。バックコーラスにブルー・マジックという4人組のソウルシンガーをしたがえてのミック・ジャガーの熱唱が心に染みる。一番のハイライトは中盤に出てくるハモり「And I really want to understand you baby」(本当にお前のことを分かってあげたいんだ)。誰がハモったかクレジットはないが、できればキース・リチャーズであってほしいと切にねがっている。さらには、直後のミック・テイラーの泣きのギターも効いている。この曲もコンサートでは全然演ってくれないが、是非ライブでも聴いてみたい。

9.Short and Curlies  ・・・ ★★★(3点)

イアン・スチュアートのピアノがジャズっぽさを感じさせる。それに呼応するかのように間の抜けたスライド・ギターをミック・テイラーが弾く。女の虜になって逃れられなくなった哀れな男をミックとキースが全編にわたってハモって歌う。3分足らずの曲でラストのミック・ジャガーによる大作へのつなぎ的な曲。

10.Fingerprint File  ・・・ ★★★☆(3.5点)

ミック・ジャガーの意気込みが最も強く感じられるファンクナンバー。オープニングからミック自ら慣れないファンキーなギターを弾き、ヴォーカルもクールに声を飲み込みながら甲高い声でファンキーな黒人の真似をして歌う。終盤もあらゆる声色を駆使して一人芝居さながらに歌いあげる。メンバー全員がこのミック・ジャガーの趣味を全面サポート。キースがワゥワゥギターでサポートし、ビル・ワイマンがシンセサイザーをプレイ。ファンクの要ともいうべきベースラインは天才ミック・テイラーに託し曲の最後までミック・ジャガーのヴォーカルに付きあう。しかし、やはり、まだまだこなれていないファンクの真似事に終わってしまっている。少し、間延びしたまとまりの無さが気になる。キースのギターもなかなかユニークだし、ミック・テイラーのベースも面白いだけに惜しい。ジミー・ミラーがプロデューサーだったらもう少し・・・。こんな、曲はやらないか。

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