アルバムレビュー

オアシス『ディグ・アウト・ユア・ソウル』アルバム解説

Dig Out Your Soul

発売日:2008年10月6日

プロデューサー:デイブ・サーディー

最高位:イギリス-1位(80万枚) 日本-2位(19万枚) アメリカ-5位(12万枚)

オアシス7枚目のスタジオアルバム。今回はアメリカマーケットにも力を入れてライブ活動を行った結果、アメリカのビルボードチャートでも久々のトップ5入りを果たしたが、セールスは日本よりも悪くなっている。

最近はアルバムを出せばすぐにファーストアルバム『オアシス 』と比較されてしまい、当のノエル・ギャラガーまでもファーストと比較して語るようになってきた。このアルバムに関してはノエル曰くファーストの次にいい出来だそうだ(毎回そんな事を言っているような気もするが・・・)。内容も全編にわたってこれまで以上にロック色の濃い内容となっており、一番最初に聞いた時は、休まる曲がなく疲れも覚えた。

しかし、何度か耳にするうちに、今まで以上に重低音が強調された、ぶ厚い曲調が心地よくなってきて、これはファーストに次ぐロックアルバムかと思った時もあったが、こうして改めて1曲1曲聴いてみると、やはり、ファーストアルバムには遠く及ばない平凡なアルバムに感じてしまう。

内容といえば、ギャラガー兄弟はビートルズの曲を繰り返し繰り返しリメイクしているような感じで、今回も相変わらずビートルズのパクりというかビートルズ以外の曲からも多く引用しているようで、どこかで聞いた曲ばかりで聞くほどに、これは誰の歌のパクり?という方に興味を持ってしまい雑念なしでは鑑賞できない。ただ、それはそれとして1曲目の出だしの音の期待感というか高揚感、ドキドキ感はさすがで、そのまま一気に4曲目の『The Shock of The Lightning』まで聞かせてしまうのはさすがだ。そして、最初は印象が薄かったが、日本のアニメの主題歌になったり、日本のTV番組で歌ったりシングルカットもされた7曲目の『Falling Down』も秀逸。また、パクりとは言え、どの曲も音の懲り方は半端ではなく、それが強調されるわけでもなく、さりげない味付けとして聞かせているのがノエル・ギャラガーの一番クールな所で、その味付けが曲に深みを加えていて他のロックバンドと一線を画すのがオアシスサウンドの特徴ともなっている。

★★☆(2.5点)

1.Bag It Up ・・・ ★★★★(4点)

オープニングはミドル・テンポながらズンズンズンズン重低音で迫ってくるかっこいい『Bag It Up』。リアムのヴォーカルもポップな高音は極力抑えて、低音でせまってくるかっこいいヴォーカル。曲の最後の方の喧騒はオアシスも録音したことがあるローリング・ストーンズの『ストリート・ファイティング・マン』のエンディングの喧騒にも似ている。

2.The Turning ・・・ ★★★☆(3.5点)

じわじわくるオープニングから期待がこみあげてくるナンバー。もちろんこのかっこよさはノエル・ギャラガー。1曲目と同じく低音が実に効いている。しかし、ノエル・ギャラガーの悪い癖でこちらはクリフ・リチャードの『デヴィル・ウーマン』をパクッている。ノエル・ギャラガーも正直に昔の名曲を下敷きに歌を作るという作曲法を認めてしまえばいいのに。その往生際の悪さがいい曲もダメにしてしまっている。エンディングのピアノはビートルズの『ディア・プルーデンス』のオープニングに似ている。

3.Waiting for the Rapture ・・・ ★★★☆(3.5点)

3曲目で早くもヴォーカルをとるノエル・ギャラガー。この暗さはドアーズの『Five To One』っぽかったりビートルズっぽかったりする。なんて、どうしても何のパクりか気になってしまうが、かっこいい歌だ。

4.The Shock of the Lightning ・・・ ★★★★☆(4.5点)

非の打ちどころのないノエル作曲のファーストシングルトラック。ストレートなロックサウンドで、上空を爆撃機が飛んでいるような重たさもあって、今までのオアシスとの曲調とも違った印象を受ける。周囲が激しく演奏する中、直立不動で歌うリアム・ギャラガーを想像するだけでも楽しくなってくる。よく聞くと控えめながら随所にエフェクトを使っていて、曲の構成から何から何まで凝った作りとなっている。特にエンディングの余韻はそのままエンドレスにオープニングへとつながっていく。ミュージックビデオのオープニングでローリング・ストーンズのアルバム『Hot Rocks, 1964-1971 』のジャケットが分かりやすく引用されているのが面白い。

5.I'm Outta Time ・・・ ★★(2点)

1曲目から4曲目まで、息絶え絶えに轟音で突っ走ってきてようやくここで休憩。がらっと曲調が変わったと思いきやリアムの作詞作曲。ジョン・レノンの『ジェラス・ガイ』みたいな優しい歌。こちらはしっかりとジョン・レノンへの愛を表明してジョン・レノンの生声まで終盤に入れてしまっているという分かりやすさ。このアルバムを引っ提げてのツアーでも、ジョン・レノン風のサングラスにジョン・レノン風のぶっといもみあげ、髪型だけはなぜか坊主だったが、ジョン・レノンに対する愛情を素直に現していた。しかし、こうしたリアムの趣味全開のせいかイギリスチャートでは15年振りにトップ10圏内を逃して12位にとどまった。

6.(Get Off Your) High Horse Lady ・・・ ★★(2点)

ノエル作曲のまたまたどこかで聴いたようなビートルズっぽいサウンド。スピーカーマイクを通じての歌声が印象的。歌の余韻を残したまま海岸沿いを歩き、そのまま次の曲へと繋がる演出となっている。

7.Falling Down ・・・ ★★★★(4点)

この曲でノエルの曲は最後。と、いうことで、ミニアルバム『ディグ・アウト・ユア・ソウル』はこの曲で終了です!?最初は暗めの曲で、どうという印象はなかったが、アニメ『東のエデン』のオープニング曲に選ばれたり、ミュージック・ステーション出演時には目立とうと思ってノエルが自分のヴォーカル曲やっちゃったよって思っていたら、イギリスでこのアルバムの3rdシングルとして選ばれたりしたもんだから、嫌でも注目する機会が増えてしまって、気づいたらこのアルバム中でもかなり好きな曲になってしまっていた。前曲から引きずった、かもめの鳴き声のようなキュンキュンという音と激しいドラミングがビートルズの『トゥモロー・ネバー・ノウズ』によく似ているけど、見事にリメイクされていて、哀愁をおびながらもサビで開放してくれる曲の構成が秀逸な作品となっている。少し余計な話だが、やはりオアシスのヴォーカルはリアムじゃなければと、この曲を聴いて改めて感じる。ノエルが歌うとどうしても哀愁が漂ってしまって、アルバム中1、2曲ならいい味わいを出すが、全編このヴォーカルだとちょっとね。やはり、リアムのポップなヴォーカルで支配されていなければオアシスのアルバムは活かされないと感じさせられる。

8.To Be Where There's Life ・・・ ★★★(3点)

ノエルにとってはこの後の曲はボーナストラックか?この曲はゲム・アーチャーが作った曲。インド楽器的な音がBGMとして全編に入っていてリアムがゆったりと歌う。このインド音楽的な要素はビートルズではジョージ・ハリスンがのめり込んでいて、ジョンとポールに対するジョージ・ハリスンの関係とオーバーラップしてしまう。とはいえこのアルバムを引っ提げてのツアーでもしっかり取り上げられており、ノエルもコーラスをしているので、ギャラガー兄弟も気に入っているのだろう。

9.Ain't Got Nothin' ・・・ ★★(2点

リアム作曲。こちらもジョン・レノンっぽいサウンド。サウンド的にはオアシスらしくよく聞くと凝ったBGMを入れてはいるが、全体的な印象としては短くて単調な感じ。

10.The Nature of Reality ・・・ ★★(2点

アンディ・ベルの曲。アンディ・ベルの名にちなんで?鈴の音と終盤のギターソロが多少印象的だが、全体的にゆったりとした地味な曲。

11.Soldier On ・・・ ★★☆(2.5点

ラストはリアムの曲。ラストにふさわしく哀愁が漂う。力強い重低音を響かせ、リアムの声が残響として鳴り響く。

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ユニコーン『I LOVE UNICORN ~FAN BEST~』アルバム解説

【Blu-spec CD】I LOVE UNICORN~FAN BEST~(初回生産限定盤)(DVD付)

発売日:2009年3月18日

プロデューサー:UNICORN

最高位:日本-第6位

ロックが好きな私にとって、曲が好きになるかならないかの境目はギターの音が多くを占める。ユニコーンの場合も『服部』のように圧倒的なギターサウンドはたまらない。でも、この曲だけでなくこのベストで改めてユニコーンを聞き直してみると随所にギターのかっこいい音が入っている。だから、ユニコーンが好きだったんだとこのベストを聞いて改めて実感した。それは再結成後のシングル『WAO!』も引き継いでいる。ただ、こうして並べられた曲を見て感じるのは、ロックにありがちなカッコつけた歌詞が1曲もない。バラードすら、照れくさそうな歌詞である。歌詞の多くは情けない男のありのままの姿が描かれていて、ある意味これこそ本当に男らしい歌なのだ。ファン層のどこにターゲットをしぼっているのかよく分からない馬鹿馬鹿しい歌詞をカッコつけて歌っちゃたり、曲の途中からはちゃめちゃに脱線したりする所が半端じゃなくカッコいい。だから、むしろ聞かせるバラード系はあまり好きになれない(たまにこういうのがあるからいいっていう人の方が多いと思いますが)。だから、再結成後の『WAO!』ってユニコーンらしくて戻ってきたって感じがした(ちょっと、はにかんだ中年になっている所は気持ち悪いけど)。曲の並べ方は個人的に好きな歌がいい具合に散らばっていてよかった。

★★★(3点)

1.ヒゲとボイン ・・・ ★★★★☆

ベストの第1曲目に選ばれたのは、きらびやかなオープニングと歌詞を除く楽曲のすべてが荘厳な雰囲気をかもし出す曲。タイトルから想像するとおり見事に歌詞が荘厳な雰囲気を裏切る。1991年9月に発表された同タイトルのアルバムからのシングルカット。『ヒゲとボイン』というタイトルからして同名の妖艶な漫画を思い出しムズムズしてくる。歌詞の内容もサラリーマンがボインの彼女をヒゲの金持ち社長にちょっかいを出されて、段々とヒゲ社長に堕ちていくサマを悶々と耐えているという悲しい物語。当時26歳の奥田民生の作詞作曲だが、若者に絶大な支持を受けたバンドだが、時々こういったロックの題材に一番合わないサラリーマンの悲哀を歌にしている。奥田民生がサラリーマンの経験をしているとは思えないが、心情を痛く突き刺さるぐらいによく現している。とにかく、この歌はこの歌詞が一番の決め手。ムズムズ悶々聞くたびにおかしな気分にさせられる。彼女と結ばれる続編を作ってくれないと悶々から解放されないんで、再結成したんだから、是非つくってほしい。

2.働く男 ・・・ ★★★

曲の順番はどう決められたか知らないが、2曲目にこれかって感じ。1990年7月発売の3rdシングル。アルバム『ケダモノの嵐』に収録。ダウンタウンとウッチャンナンチャンと清水ミチコと野沢直子のコント番組『夢で逢えたら』の主題歌に選ばれたために、夢の中で~君に逢いたい~という歌詞が入る。1曲目と同じく何故かロックに似つかわしくないサラリーマンが題材になっている。しかも、どちらももてない男の嘆き節なのでトンがったロックとは一線を画す。前奏は水が右へ左へと流れ咆哮が聞こえ、コンガのような太鼓の音色でジャングルっぽい雰囲気のなかで、一気に歌が始まる。全体的に疾走感を保ちながらもコロコロと曲が転調するのがおもしろい。BGMの演奏が非常に凝っている。ドラムは打ち込みのようだが、他にも楽器全体が歪んでいて夢の世界を表現しているかのようでもある。最後急にフェードアウトで曲が終わるのが少し気持ち悪い。

3.ロック幸せ ・・・ ★★★★

2曲目の『働く男』のシングルカップリング曲。『働く男』がA面なのに曲順はこちらの方が先という不可思議なシングル。もちろん同じく『ケダモノの嵐』にも収録。2分弱というのがもったいない位、いい歌。ドラムの川西幸一作詞作曲ヴォーカルの歌。このベストまたまたまた3曲連続でサラリーマンが主人公!?歌詞の中の「ニッポン人ならしょうがないのだ~」とかエンディングの「幸せ~探しまっしょ お幸せつかみまっしょ お幸せみつけまっしょ」というフレーズが妙に心に突き刺さる。個人的にはこの歌い方や歌詞や曲の雰囲気が天才バカボン的な素朴さを感じる。1番で終わらせずに2番3番と歌を続けてほしい。

4.開店休業 ・・・ ★★

氣志團のプロデューサーとしての方が有名になりつつあった今日この頃の阿部義晴が作った歌。かなりスローな曲で前半は阿部のキーボードと奥田民生のヴォーカルのみで、後半急にドラムが加わりその後ギターソロも加わるが最後まで盛り上がりは見せない。アルバムは『ヒゲとボイン』に収録。

5.ペケペケ ・・・ ★★★☆

ハモリはないが一応デュエット・ソング?男役が堀内一史、女役が奥田民生。男性パートの方が高音だけど・・・。PVがあるのでシングル曲とばかり思っていたがシングルにはなっていない(なにしろ『大迷惑』までシングルを出すのを忘れていたらしいから)。せわしないベース音とギター音が絡み、妙にキレイなヴォーカルの堀内の声が飛び込んでくる。ダメ男を揶揄する奥田民生の歌うサビが内容も歌唱も胸に響いてくる。男と女の腐れ縁を歌った生活臭がプンプンする内容。1988年のセカンドアルバム『パニックアタック』に収録。

6.Maybe Blue ・・・ ★★

1987年発売の1stアルバム『Boom』から唯一選ばれた曲。1stということもあってらしくない感じ。奥田民生のヴォーカルも非常に優等生。今聴くとロックというよりも歌謡曲。でも、実はこれがホンモノのユニコーンでこれ以降が脱線してしまったのかもしれない

7.PTA~光のネットワーク~ ・・・ ★★

ユニコーンらしくない曲調(しゃれっ気は十分ユニコーンらしいのだが)のこの歌がファンが選ぶベストに選ばれるというのは少し複雑。サラリーマンソングが多いと思いきや今度は先生を労わる歌。どこまで本気を混ぜているのか分からないが、全編TMネットワーク調の曲とヴォーカル。ちなみに作詞作曲ヴォーカルは奥田民生と阿部義晴。作曲とアレンジにピチカート・ファイヴの小西康陽も加わっている。1990年発売の『おどる亀ヤプシ』に収録

8.雪が降る町 ・・・ ★★★

本ベストアルバムのど真ん中にそえられ、本ベストアルバムの中でも最長の6分半の曲。1992年発売のシングルのみのナンバー。いかにも奥田民生っぽい、たるく歌う感動の名曲。個人的にはユニコーンがこういういかにも名曲ですよというバラードをやるのはあまり好きではない。

9.自転車泥棒 ・・・ ★★★☆

オープニングの歪んだ音が夏の強い日差しを感じる。さわやかな幼なじみのカップルを思わせる歌。遠い昔だけどふた月前でいつのまにか大人になっているという夢物語の歌詞もそうだが、曲自体の妙な気だるさが心地よく、特にサビの部分が非常に美しいメロディとハーモニーになっている。日常のふとした瞬間に『ラララ自転車泥棒』って口ずさんでしまっている自分がいる。1990年発売の『ケダモノの嵐』収録でテッシーが作詞作曲。

10.服部 ・・・ ★★★★★

ここからの4曲はユニコーンにとっての『サージェント・ペパーズ』と呼んでもいい程の最高傑作アルバム『服部』(1989年発売)コーナー。オリジナルアルバム『服部』は1曲目のオーケストラによるインスト『ハッタリ』。2曲目の子供に歌わせた、ほのぼのなサウンドだが歌詞が大人な『ジゴロ』(この展開はクラッシュを彷彿とさせる)。そして、その2曲とのギャップが一層この曲をひきたたせこの曲『服部』が3曲目に流れる。この曲が他の追従を許さないかっこいいロックとして君臨している証はやはりギター。オープニングからビシバシ響くかっこいいギターリフ、そのまま曲中にもからみ続け終盤のギターソロもさりげなくかっこいい。タテノリにズンズン迫ってくるドラムに、こちらも曲中からみ続けるキーボード。歌詞よりも歌い方がかっこいい奥田民生。日本の中で一番の快心のロックサウンド。日本でこの曲を超えるサウンドにはまだ出会っていません(あくまでも個人的な見解です)。奥田民生の才能に感服した曲です。

11.おかしな2人 ・・・ ★★

この曲は川西幸一作詞、奥田民生作曲ということで5曲目の『ペケペケ』の続編的な歌になっている。ただ、こちらは女性目線中心の歌で全編おねぇ言葉で歌っているようで個人的にはどうもしっくりこない。ストレートなロックサウンドでテッシーのギターもいいんだけど・・・。

12.人生は上々だ ・・・ ★★★

川西幸一、阿部義晴作詞、奥田民生作曲。同じ阿部義晴作品としては2009年再結成のシングル『WAO!』があるが、息が続かねぇ、ところと合い言葉がでてくるところに共通項がある。この曲は是非、ヘッドホンで、でかめの音で聴いてもらいたい。オープニングから左の耳から脳天、右の耳へと音が分かれて、すぐ耳元で歌われているようで、一層身近に感じられる。脱線する人生とオーバーラップするかのようにどんどん音が昇りつめ、聴いてる方も息が苦しくなる。

13.大迷惑 ・・・ ★★★★☆

はっきり言ってユニコーンを知ったのはこの曲のPVを見たときからだ。オーケストラと一緒に演奏するスケールのでかさが、ロックのカテゴリーを大きく飛び越えて、バンドブームのさなか他のバンドを一気に抜き去った瞬間だった。しかも、歌詞はまたまたサラリーマンソング。とても20代のロッカーが書く作品とは思えない所帯じみた内容である。そして、オーケストラの忙しい演奏がおそらく地方へ飛ばされた主人公のサラリーマンのあわてふためく様子が見事に表現されている。「ハットリィ」にしろ「ダ・イ・メイワク」にしろ普段叫び声を発するフレーズではない言葉だが、どういうわけか一緒に叫んでしまう。この濃い曲がわずか3分40秒しかなかったという短さも驚きである。

14.車も電話もないけれど ・・・ ★★

7番目のアルバム1991年発表の『ヒゲとボイン』に収録。江戸時代末期に黒船に乗ってきた女性と恋に落ちる物語。リズムの刻み方や曲の盛り上げ方や全体の雰囲気がビートルズの『ア・デイ・イン・ザ・ライフ』、歌のイメージに合わせて軍艦やカモメの鳴き声を取り入れているところが『トゥモロウ・ネヴァー・ノウズ』を思わずにはいられない。奥田民生作詞作曲の作品。『ヒゲとボイン』に続いてラス前に持ってきているが、確かにラス前にふさわしい曲だが、そこまでキバッて何を訴えたいのかよく分からない。『ヒゲとボイン』のアルバムではこの後に馬鹿馬鹿しく素敵な『ヒゲとボイン』がラストを飾る。

15.すばらしい日々 ・・・ ★★☆

ユニコーンの解散前のラストシングルで1993年発売、解散前のラストアルバム『SPRINGMAN』に収録。以降の奥田民生のソロ活動の機軸が見て取れる雰囲気の曲。また、ユニコーンが再結成後、TV出演の度に新作『WAO!』とセットで演奏していた事や、製作時にドラムの川西幸一が脱退を表明していた事、このシングルが解散前のラストシングルであった事やそれらとリンクするような歌詞の内容から、ユニコーン(特に奥田民生)の思いいれの強さを感じるし、ファンにとって感慨深い歌でもある。が、すでにお気づきかもしれないが、個人的にはこういう味わい深い歌をユニコーンが演奏するのは、一気に老け込んだ感じがして、ハチャメチャなユニコーンのロックサウンドが好きなわたくしはあまり好きではない。ただ、このファンベストのラストを飾るにこれ以上ふさわしい曲はないのも事実である。

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フランツ・フェルディナンド『トゥナイト』アルバム解説

Tonight

発売日:2009年1月26日

プロデューサー:ダン・キャリー

最高位:イギリス-第2位 アメリカ合衆国-第9位 日本-第6位

このアルバムはメンバー自身が語っている通り、テーマは夜で、ドラムマシーンやシンセを多用し、その他にもスタジオのテクノロジーを利用して色々な実験を行っており、正に地下の実験室でフランケンシュタインを誕生させているような印象を受ける。前作『ユー・クッド・ハヴ・イット・ソー・マッチ・ベター』がシングル『ドゥ・ユー・ウォント・トゥ』に代表されるように、変態くねくねロックダンスアルバムで、高速でキャッチーなメロディが好評だっただけに、今作も期待したファンも多かったと思うが、見事に裏切られる結果?となった。チャートとしては前作からの期待値で、まずまずだったかもしれないが、セールス的には確実に落ちている。今作は何が裏切られているかというと、古いアメリカの新聞に掲載されている事件現場の写真のような暗いアルバムジャケットが暗示しているように、前作に比べて全ての曲のテンポが遅いこともあり、ダークな雰囲気が漂っているという点だ。だから、前作よりもキャッチーではないから、即効性が落ちているという点だ。しかし、繰り返し繰り返しこのアルバムを聴くうちにこのアルバムの本質が分かってきて、全然悪くないどころか前作を上回る熟成された前作を凌ぐ傑作アルバムであることが分かる。前作より大人しくなったとはいえ、前作の彼らと比べて大人しいというだけで、やはり他のイギリスのロックバンドと比べるとこのアルバムの変態さは、群を抜いている。ただ、前作みたいに勢いでドド~ンとでてきたアルバムとは違い、どっしり腰を据え付けてサウンドが作られているもんだから、前作よりは落ち着いた印象を受けるだけである。各曲単位に聞くと、つなぎのような曲もあるが、曲と曲のつなぎ方や曲順は計算されていると思われ、アルバム通して一つのコンセプトとして完成された作品となっている。ただ、10年後に聞いたら前作も今作も同じ路線に聞こえるかもしれないけどね。

★★★☆(3.5点)

1.Ulysses ・・・ ★★★

アルバム先行シングル。先行シングルにしては、静かなビートで始まるかなりクールな仕上がり。電子音も多用されていて、彼らの持ち味である途中からの変調あり、盛り上がりありなのだが、決して悪くはないが、クールに抑えた感じとなっており、このアルバム全体を象徴するかのような作りになっている。しかし、他のバンドがやっていれば十分派手なんだが、今までが今までだからクールに聴こえる。この事が吉とでるか凶とでるか待望されていたはずなのだが、本国イギリスではシングルチャートは20位どまりとパッとしなかった。

2.Turn It On ・・・ ★★★

2曲目は1曲目よりもさらに渋く決めている。これも彼らにしてみればなのだが・・・。2分20秒と短くまとめられていて、盛り上がりらしい盛り上がりは出だしのドラミングぐらいで、後はディスコティックな踊れるベース音が鳴り響く。決して悪くはない。

3.No You Girls ・・・ ★★★☆

邦題は『キャサリン~ガールズ・ネヴァー・ノウ~』。3曲目にしてようやくらしい曲登場。小気味よいギターやベース音電子音が絡み付いて音の洪水となってタテのりな変態ディスコティックサウンドとなっている(それでも今までよりは地味だけどね)。やっぱりフランツ・フェルディナンドは曲のノッケから踊らしてくれなくちゃ、らしくないね。これを最初にシングルカットしていれば、このアルバムのイメージも変わっただろうに。日本のタイトルがなんでキャサリンなのかよく知らんが、日本では映画『ピューと吹く!ジャガー~いま、吹きにゆきます~』の主題歌でおなじみ?iPodのCMにも採用されている。

4.Send Him Away ・・・ ★★☆

軽いタッチの小気味のよい歌。同じパターンでリフレーンするギター。3分足らずの曲。やはり、ただでは終わらず終盤忙しくなる。

5.Twilight Omens ・・・ ★★

電子オルガンで哀愁を漂わせる多少不思議な音色というだけで、可もなく不可もないつなぎの曲。

6.Bite Hard ・・・ ★★★

前半のラスト。5曲目の流れで地味目のバラードでくるかのような、イマジン風ピアノで始まる。歌はエルヴィス・コステロの名曲『シー』を思わせる歌いだし。と、思いきやビーチ・ボーイズの脳天気サウンド風に転調して一気に縦ノリのサウンドに早変わり。ギターサウンドもキレのいいカッティングやら渋いリードやらグワングワン目まいを起こさせる得意の音やらヴァラエティに富んでくる。

7.What She Came For ・・・ ★★★

ちょっと変わった雰囲気でいい味を出している。元々彼らは変化球は多いのだが・・・。ドラムス・ベース・シンセが絡みつくオープニングから淡々とAメロ→Bメロとヴォーカルが重なり、一緒に叫びたくなるようなサビで盛り上げてラストはギターが狂いまくる。と、いったいい展開の曲です。

8.Live Alone ・・・ ★★★

ドンドコドンドコ湧き上がってくる音。ピコピコテクノサウンドっぽい音。ドラマティックに展開する曲だが、特に起承転結の転の部分に入ってくる渋いヴォーカルがかっこいい。

9.Can't Stop Feeling ・・・ ★★

のっけからアラビアンテイストで構成された曲。とはいえネタが尽きたかのような歌の展開。3語か4語の単語で構成されたフレーズを淡々と連呼するサビ。9曲目ともなるとワンパターンな感じは否めない。アラビアンテイスト以上のひねりが欲しい・・・。

10.Lucid Dreams ・・・ ★★★

当アルバム発売から遡ること4ヶ月前の8月19日。ファンもフランツ・フェルディナンド待ちきれずプロモーション用としてシングルカットされた曲。軽快でテンポのいいロックサウンド。かなりいい感じの仕上がりになっていて、ニューアルバムに対する期待は高まるばかりであった。いざ、蓋を開けてみればこの曲、アルバム最長の8分弱という曲に変化。シングルよりも軽快さは薄れ、シングルではギターポップナンバーだったが、デジロックナンバーに。音が右へ左へとぐるぐる移動し終わったかと思えば延々とデジタル音が鳴り響く。個人的にはいやではないが、シングルヴァージョンの方が好き。

11.Dreams Again ・・・ ★★☆

ラス前にふさわしく?かわいらしく優しい歌。今作中一番優しいヴォーカルに今作中一番静かな電子音で子守唄のように歌われる。

12.Katherine Kiss Me ・・・ ★★★

ここでようやく3曲目の邦題がなぜ『キャサリン』なのか意味が分からなくもなくもなくなる。最後は派手に決めてくれるかと思いきや3曲目の編曲でアレックスのギター弾き語り。歌詞は3曲目とほぼ一緒でキスをおねだりしていた相手がキャサリンで、3曲目のサビを抜いて骨抜きにしたユーモアあふれる内容となっている。でも最後は派手にいって欲しかったね~。ま、このアルバムらしい終わりかたかな。

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プリンセス・ファーギー:The Dutchess+3~決定盤。

アルバムレビュー

  • Artist : Fergie
  • Released : November,2007
  • Producer: will.i.am/Polow Da Don

プリンセス・ファーギー:The Dutchess+3~決定盤。(期間限定特別価格)

1. ファーガリシャスfeat.ウィル・アイ・アム
2. クラムジー
3. オール・ザット・アイ・ガット(ザ・メイク・アップ・ソング)feat.ウィル・アイ・アム
4. ロンドン・ブリッジ
5. ペデスタル
6. ヴードゥー・ドール
7. グラマラスfeat.リュダクリス
8. ヒア・アイ・カム
9. ヴェルヴェット
10. ビッグ・ガールズ・ドント・クライ
11. メアリー・ジェーン・シューズfeat.リタ・マーリー&ザ・アイスリーズ
12. ルージング・マイ・グランド
13. ファイナリー
14. ゲット・ユア・ハンズ・アップfeat.ブラック・アイド・ピーズ*
15. ウェイク・アップ**
16. パラダイス***
17. ピック・イット・アップfeat.ウィル・アイ・アム(新収録)
18. ビッグ・ガールズ・ドント・クライ・リミックスfeat.ショーン・キングストン(新収録)
19. クラムジー・リミックス(新収録)

買っちまった。

とうとう買っちまった。

アメリカで2006年9月に発売以来、ビルボードになんと77週もチャート・イン(2008/3/19現在)。

発売当初から全く興味なかったのに・・・。

この売れ行きに押されて・・・、この日本再発売のジャケットに惹かれて・・・。

とうとう買っちまった。

結構よかったよ。

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It Won't Be Soon Before Long.

アルバムレビュー

  • Artist : Maroon5
  • Released : May,2007
  • Producer: Mike Elizondo/Mark "Spike" Stent/Mark Endert/Eric Valentine/Maroon5/Sam Farrar

It Won't Be Soon Before Long

1. I Never See Your Face Again
2. Makes Me Wonder
3. Little Of Your Time
4. Wake Up Call
5. Won't Go Home Without You
6. Nothing Lasts Forever
7. Can't Stop
8. Goodnight, Goodnight
9. Not Falling Apart
10. Kiwi
11. Better That We Break

12. Back At Your Door

ファーストアルバムの『ソングス・アバウト・ジェーン 』を初めて聴いたのは2006年。発売から4年経とうとしていた頃だ。偶然インターネットでファーストアルバム収録の『Sunday Morning』のプロモを視た事がきっかけだった。小気味良いジャズのテイストも盛り込まれたこの曲を一度聴いただけで好きになり、思わずファーストアルバムを買ってしまった。

それから運よく1年後にこのセカンドアルバムが発売となった。ファーストアルバムはアルバムとしては荒削りな所もあるが、先の『Sunday Morning』や『This Love』など強力なナンバーが収録されていたので、ファーストアルバム発売から5年間バンドとして熟成して産まれてくるセカンドアルバムは発売前から期待でいっぱいであった。

そんなこんなで待ちに待って発売されたセカンドアルバムであったが、最初に聴いた感想としてはファーストよりサウンド的には熟成されたが、荒っぽさがなくなり、ロックとしては面白味に欠けるサウンドという印象を受けた。また、彼らの曲の中で一番好きな『Sunday Morning』に匹敵するような印象に残る曲もなくそういった観点からも面白味に欠ける印象を受けた。

それでも、半年以上聴き続けた今、なんと感想は大きく変わり私の中でもようやくファーストを超える最高のアルバムとして受け入れられるようになった。

その心変わりの一番の要因はテレビにある。発売後からじわじわじわじわとテレビの番組の挿入歌やCMソングとしてこのアルバムの曲の聴き心地のいいフレーズがいくつも取りあげられ、徐々にこのアルバムの何曲かは私のみならず日本国民の耳に浸透していってしまったことだろう。今ではトヨタのCMに取り上げられた5曲目に収録のバラード『Won't Go Home Without You』は私の中では『Sunday Morning』に匹敵する曲となってしまっている。自分であきれるほどミーハーである。

そうして今、聴き返してみるとどの曲も素晴らしく、どの曲もドラマティックに展開し、ロックやファンクやポップスやオルタナ、あらゆるジャンルを飲み込んでいながら、2分から4分でミディアムテンポに抑えた曲ばかりなので、どの曲も聴き心地がよく耳に残る。

そして、特筆すべきはすべてが甘くて切ないラブソングである点だ。男性ならば彼女へのプレゼントとしてこのアルバムをチョイスすることもいいかもしれないが、親しい女性でなければしつこくらいのラブソングに引かれてしまう可能性もある。

とはいえ、おそらく私と同じ理由でこのアルバムを手にすれば今や多くの日本国民から信任を受けるであろう。

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Rockin' The Joint

アルバムレビュー

  • Artist : Aerosmith
  • Released : October,2005
  • Producer: Steven Tyler/Marti Frederiksen

Rockin' the Joint

1. Good Evening Las Vegas
2. Beyond Beautiful
3. Same Old Song and Dance
4. No More No More
5. Seasons of Wither
6. Light Inside
7. Draw the Line
8. I Don't Want to Miss a Thing
9. Big Ten Inch Record
10. Rattlesnake Shake
11. Walk This Way

12. Train Kept a Rollin'

発売は2005年だが音源は2002年1月11日のラスベガスのハードロックホテルからだ。これ以前のライブアルバムである『A Little South Of Sanity [2-CD SET] 』は2枚組みのヴォリュームでベスト盤的要素が強かった。演奏自体もスタジオ録音と似通っていて個人的にはライブとしての魅力があまり感じられなかった。

ところが、このアルバムはそんな不満をはねのける荒々しいライブ感たっぷりの内容だ。1958年に出されたBill Haley & His Cometsのアルバムタイトルと同じタイトルを持つこのアルバムは最近のエアロスミスをサポートしているMarti Frederiksenがプロデュース。内容はいわゆる復活後の楽曲は彼もソングライターとして参加した秀作2と6、そして彼らの唯一のアメリカでのナンバー1ヒットソングである8の3曲のみで、その他は復活前の渋い選曲となっている。しかし、これらがうまく溶け合って(ミス・ア・シングはあまりよくはないが・・・)12曲ながら聴き応えは十分。ある意味70年代の黄金期のエアロの雰囲気を持ったアルバムとなっている。

因みに私は最近の様々なアーティストのパターンでライブ盤のCDを買ったらすぐにDVDが出てくるという悔しい思いをさせられるパターンがあると思い、1年以上も買い控えたがとうとうDVDは出なかった。逆に早く買えばよかった。

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Fijacion Oral Vol.1

アルバムレビュー

  • Artist : Shakira
  • Released : June,2005
  • Producer: Shakira

フィハシオン・オラル vol.1

1. En Tus Pupilas
2. La Pared
3. La Tortura
4. Obtener Un Si
5. Dia Especial
6. Escondite Ingles
7. No
8. Las de L'Intuicion
9. Dia De Enero
10. Lo Imprecindible
11. La Pared (acoustica)
12. La Tortura (Shaketon Remix)

シャキーラと言えば、今や最も艶っぽい女性アーティストと言っても過言ではないぐらいセクシーさを全面的に売り物にしている。特にこのアルバムともう1枚対をなす『Oral Fixation, Vol. 2 』のシングルカットされているラテン系のノリのダンスミュージックなんかはプロモを見るととにかくセクシーである。プロモだけではなく楽曲も負けず劣らずかっこいい。最初はボーナス・トラックとして『Hips Don’t Lie-オシリは嘘つかない feat.ワイクリフ・ジョン 』を収録して再発された『Oral Fixation, Vol. 2 』の方がこのアルバム収録の『La Tortura』までもボーナス・トラックとして収録している分気に入っていた。しかし、聴けば聴くほどシャキーラの母国語であるこのスパニッシュヴァージョンの方がよくなってしまった。

最初スパニッシュヴァージョンという事でもっとラテン系のノリのアルバムかと思っていたらシングルカットされている曲以外は意外とそうではない。洋楽のR&Bともまた違う。どちらかと言うと日本の歌謡曲的なアジア系のノリに近いように感じられる。もう一つ驚いたのはシングルでのヴォーカルはほとんどが、くぐもったというか大らかで包み込むような癒し系のヴォーカルであるが、アルバムではセクシーでキュートな声をたくさん披露している。特に、これはシングルカットはされているが、9曲目の『Dia De Enero』なんかは全編そのキュートなヴォーカルでセクシーなムード歌謡となっている。8曲目の『Las de L'Intuicion』のシャキーラのパンチラ満載のかなりマニアックなプロモのことも話の種として紹介しつつ、とにかくこのアルバムはラテンのダンスからムード歌謡までヴァラエティに富んでいて聴けば聴くほどシャキーラの声に癒されること間違いない。

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Modern Times

アルバムレビュー

  • Artist : Bob Dylan
  • Released : August,2006
  • Producer: Jack Frost

Modern Times

1. Thunder On The Mountain
2. Spirit On The Water
3. Rollin' and Tumblin'
4. When The Deal Goes Down
5. Someday Baby
6. Workingman's Blues #2
7. Beyond The Horizon
8. Nettie Moore
9. The Levee's Gonna Break

10. Ain't Talkin'

80年代に入ってからのボブ・ディランはネタ切れ感が否めない。80年代後半になってからその傾向が強く88年発表の『Down in the Groove 』は人が作った曲がほとんどだし、92年93年の『Good as I Been to You 』と『World Gone Wrong 』大昔の名曲フォークソングのギター1本弾き語りのカバーであったりした。何より1枚の収録時間が短すぎた。アルバム全体で40分にも満たないモノばかりであった。何だか惰性で出しているだけのような気がしてしょうがなかった。こっちもあのボブ・ディランだから買わない訳にはいかないし悪い訳はないと思い何がいいのか分からないまでも、必死で良さを探すために聴き続けたけど、結局良さなんて感じなかった。もちろん、曲によっては好きになった曲もあるけど・・・。

ボブ・ディランの流れは1997年発表の『Time Out of Mind 』で大きく変わる。不調の80年代の中でも群を抜いた傑作『Oh Mercy 』でプロデューサーとして起用されたダニエル・ラノワを再び起用した本作は、ボブ・ディランが何でもコンサートに来る客層が若い子も多く来ていることに気づいてその若者たちが聴ける音楽をという思いで作ったそうだ。全盛期のボブ・ディランの得意技の長い曲もいくつも収録(ラストはなんと17分)。トータル時間も11曲で73分と充実している。その充実ぶりを証明するかのようにグラミー賞まで獲得してしまった。ダニエル・ラノワと組むと傑作が生まれるようである。

ただ、私にとってこのアルバムは悪くはないのだが、どこか敷居が高くて素直にのめり込めなかった。そこで、次の新作『Love and Theft 』。ジャック・フロストの名を語った本人のプロデュースであるのだが、とにかくいい。どの曲もノリがよくってドライブに最適である。ボブ・ディランも今まで以上に楽しんで作っているかのようである。生粋のディラン・ファンには怒られるかもしれないが、私にとってこのアルバムはディランのキャリア中、最高傑作と信じて疑わなかった。セールス的にも着実に落ち込んでいたのだが、前作が最高位10位の久々のプラチナアルバムでこちらはゴールドにとどまったが、最高位5位と冴えをみせていた。

ところがだ、次のアルバムであるこのアルバム。前作の良さからあまりにも期待が大きすぎた。実際の所、アメリカのボブ・ディランのファンも同じだったのかもしれない。その期待の大きさを反映してか、なんと初登場第1位を獲得してしまったのだ。1位は76年発表の大傑作『Desire 』以来である。60歳を超えたボブ・ディランが、である。この時期のボブ・ディランが、である。1位を獲ってしまった。

では、内容はどうかというと前作こそ最高傑作と思っていたがそれを軽々と上回ってしまった。今作は誤解を恐れずに言うならばジャズ・バーかなんかで流れてもいいようなムードたっぷりな曲も多く含まれている。しかも、現代のボブ・ディランにピタリとはまっていて心地よさ満点である。6分7分を超える曲もいくつも収録されているが全くあきない(正直『Time Out of Mind 』収録のラスト17分の大作はしんどかった)。このアルバムこそがボブ・ディランの最高傑作である。ダニエル・ラノワじゃない。ジャック・フロストこそボブ・ディランのアルバムをプロデュースするのにふさわしい人物なんだ。

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Pandora's Box

アルバムレビュー

  • Artist : Aerosmith
  • Released : November,1991
  • Producer: Various

Pandora's Box

ディスク1

1. When I Needed You
2. Make It
3. Movin' Out [Alternate Version][#]
4. One Way Street
5. On the Road Again [Rehearsal Pre-Production Jam][#]
6. Mama Kin
7. Same Old Song and Dance
8. Train Kept a Rollin'
9. Seasons of Wither
10. Write Me a Letter [Live][#]
11. Dream On
12. Pandora's Box
13. Rattlesnake Shake [Live Radio Broadcast]
14. Walkin' the Dog [Live Radio Broadcast]

15. Lord of the Thighs [Live]

ディスク2

1. Toys in the Attic
2. Round and Round
3. Krawhitham [#][Instrumental]
4. You See Me Crying
5. Sweet Emotion
6. No More No More
7. Walk This Way
8. I Wanna Know Why [Live]
9. Big Ten Inch Record [Live]
10. Rats in the Cellar
11. Last Child [Remix]
12. All Your Love [#]
13. Soul Saver [Rehearsal][#]
14. Nobody's Fault
15. Lick and a Promise
16. Adam's Apple [Live][#]
17. Draw the Line [Remix]

18. Critical Mass

ディスク3

1. Kings and Queens [Live][#]
2. Milk Cow Blues
3. I Live in Connecticut [Rehearsal][#]
4. Three Mile Smile
5. Let It Slide [#]
6. Cheese Cake
7. Bone to Bone (Coney Island White Fish Boy)
8. No Surprize
9. Come Together
10. Downtown Charlie [#]
11. Sharpshooter
12. Shit House Shuffle [Rehearsal][#]
13. South Station Blues
14. Riff and Roll [#]
15. Jailbait
16. Major Barbara [Alternate Version][#]
17. Chip Away the Stone [Alternate Version][#]
18. Helter Skelter [#]

19. Back in the Saddle

3枚組み52曲というヴォリューム。通常これだけのヴォリュームがあると散漫になってしまうのだが、そこはエアロスミス。どれも感慨深いいい曲ばかりだ。確かに中にはデモテープみたいなお金を出して買わしてはいけないような未完成の曲もあるが、それに目をつむれるぐらいに充実している。曲の内容を見てもらえばわかるが、オリジナルメンバーでの再結成前の第1次コロンビア時代の選曲によるベストだ。

1枚目はコロンビア時代の初期1枚目と2枚目とその周辺のレアトラック。曲はいいのだが、いい録音機材を使わしてもらってないかのようなスカスカな音。しかし、そのざらついた感じがいい味だしている。

2枚目はエアロスミスがまじめにヘヴィ・ロックに取り組んでいた第一期黄金期とでもいうべき『Toy's In The Attic』『Rocks』『Draw The Line』あたりからの選曲。特に『Toy's In The Attic』『Rocks』で見られる重低音サウンドと一転してスライド・ギターを多様したルーズな音の中で泳ぐ『Draw The Line』、この時期はエアロスミスの中で一番かっこよかった時期だ。

3枚目はジョー・ペリーとブラッド・ウィットフォードが抜けるエアロスミスとしては一番危うかった時期。これを逆手にとって、二人のソロ・プロジェクトの時代の曲までいれてしまうのはどうかと思うがそれはそれでまた、面白かったりする。また、先に述べたような完成させてないような曲も含まれておりこの3枚目はボーナス的な要素が強い。とはいえ3枚目に『Night In The Ruts』の曲がいくつか収録されているが、この『Night In The Ruts』は決して駄作ではなく聞き応えのある曲も多くアルバムとしてはまとまっていたと思う。

以上どの曲を聴いてもニヤリとしてしまうような曲ばかり。最後に年代とは関係なくこのアルバムのラストを"Back In The Saddle"にしているのはこの時代の彼らの一番の力作なのだろう。

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Warning

アルバムレビュー

  • Artist : Green Day
  • Released : October,2000
  • Producer: Green Day

Warning

1. Warning
2. Blood, Sex And Booze
3. Church On Sunday
4. Fashion Victim
5. Castaway
6. Misery
7. Deadbeat Holiday
8. Hold On
9. Jackass
10. Waiting
11. Minority
12. Macy's Day Parade

グリーン・デイは好きだが、すぐに飽きてしまう。それはパンクバンドの宿命でもあるが、どうしても限られたコードでギター・ソロもないので、幅の狭い音楽になってしまうからだ。このアルバムなんかも買ってすぐは良かったが、その後またたく間に飽きてしまった。

しかし、このアルバムの次に音楽史にも残る名作『American Idiot』が出現し、一気にパンクの可能性を押し広げることに成功した。ただ、個人的な意見としては『American Idiot』は世間が騒ぐほど大したアルバムとは思っていない。ちょうど札付きのワルがふと優しさを見せたりすると、ホントはいい奴なんだみたいなアルバムとしか捉えることができなかった。他のバンドがこの程度のアルバムを出しても傑作とは思われない。パンクバンドのグリーン・デイだからこそ受けいられると思った。パンクの可能性は押し広げたが、やはり、パンクとしては不満である。次に出された『American Idiot』のライブ版ともいうべき『Bullet In A Bible』のほうが演奏が荒くなった分、パンクっぽくっていい。

最近になってこのアルバムを聴いてみた。もう、随分聞き込んだはずなんだが、なんか衝撃的なぐらい新鮮に聞こえる。『American Idiot』なんかよりストレートではるかにいい。一度飽きた時より全然飽きずに長いこと聞き込んでいる。

そんな同じような『American Idiot』体験をした人たち、また、逆に『American Idiot』こそグリーン・デイの最高傑作と思っている多くのグリーン・デイファンの人たちに再びこのアルバムをお勧めします。きっと2000年の頃と違う体験ができるはずだ。

それにしても、『American Idiot』がバカ売れしたせいでU2と競演したり『Working Class Hero』なんかカヴァーしたり・・・。

次のアルバムは大ヒットに縛られどこへ行ったらいいか迷走することなく戻ってきてほしい!!

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A Bigger Bang

アルバムレビュー

  • Artist : Rolling Stones
  • Released : September,2005
  • Producer: Don Was/Grimmer Twins

A Bigger Bang

1. ラフ・ジャスティス
2. スローで行こう
3. イット・ウォント・テイク・ロング
4. レイン・フォール・ダウン
5. ストリーツ・オブ・ラヴ
6. バック・オブ・マイ・ハンド
7. 彼女の視線
8. ビゲスト・ミステイク
9. 虚しい気持ち
10. Oh No、ノット・ユー・アゲイン
11. デンジャラス・ビューティー
12. 孤独な旅人
13. スウィート・ネオ・コン
14. 猫とお前と
15. ドライヴィング・トゥー・ファスト
16. インフェミー

これの前に出されたアルバム『Bridges To Babylon』はCD以降のストーンズのアルバムの中では最高傑作と言っても過言ではない位、魅力的なアルバムだった。ただし、ミック・ジャガーとキース・リチャーズがお互いにソロでCDを出す予定を変更してのリリースであったので、ミック・ジャガー主導とキース・リチャーズ主導と、曲ごとに明確に分かれてしまっていたことが少々ストーンズファンとしては不満の残る内容ではあった。バンドサウンドとしてのローリング・ストーンズの終着点はさらにその前の作品『Voodoo Lounge』だと思っていた。しかし、バンドサウンドとなるとアットホームな感じで緊張感がなくなり少し緩慢な印象を受ける。それがいい方にでているのは『Exile On Main St.』というストーンズの中でも最高峰のアルバムがあるが到底追いつくことは不可能である。

さて、『Bridges To Babylon』以降、ストーンズはオリジナルアルバムを出さなくなり次に出したのが結成40周年記念アルバム『Forty Licks』となり、そのアルバム発売後に世界ツアーを行ったが、今まで行った事のない国まで廻ったツアーであったので、いよいよ引退前に世界旅行でもしたのかと思っていた。

ところが、2005年の初頭であったと思うがローリング・ストーンズのニューレコーディングの噂が飛び込んできた。とても、ミックとキースが仲良く作るとは思えなかったが、前作『Bridges To Babylon』路線であるならば、新機軸を発展させた形となって楽しみに思えた。が、蓋を開けてみると完全に予想を裏切られた。しかも、かなりいい方向に裏切られた。

昨今のアルバムはミックとキースのお互いに仲のよいミュージシャンを連れてきて大所帯でアルバムをレコーディングしている風景が思い浮かべられる。また、ミックとキースが別々に作りあげている曲も多いためキースが欠席する曲も少なからずあった。しかし、このアルバムをどの曲を聴いてもミックとキースががっぷりと組んで作り上げてきたのがよく分かる曲ばかりである。しかも、ゲストミュージシャンはほとんど起用されていない。アル中でロン・ウッドがしばらく参加できなかったためオリジナルストーンズのミック、キース、チャーリーだけの曲もある。ところが、それだけメンバーを絞っていてもどの曲も奇跡と言っていい位、音に厚みや深みがある。個人的にはロン・ウッドは大好きだがロン・ウッドがいない分キースが大活躍してロン・ウッドが奏でるさわやかなソロが少ないためどの曲もタイトで緊張感のあるど真ん中のロックである。先に書いたとおりローリングストーンズの場合、バンドを重視したサウンドとなると緊張感が薄くなりだれてしまうパートも出てくるのだが、このアルバムは違った。各曲の時間も『Streets Of Love』以外はどれも5分をきっており、3分か4分でシンプルにまとめられている。それ故に16曲もあるが、だれることなく一気に聴くことができる。ミックとキースの仲の良さはキースのヴォーカル曲に顕著にあらわれている。通常ロン・ウッドがキースの曲に味付けをする役目をするのだが、ロン・ウッドの代わりにミックが『This Place Is Empty』でスライド・ギターを弾いている。ミックと対等にキースのギターがヴォーカルのように歌い続ける『Oh No ,Not You Again』というストーンズ得意パターンのサウンドもこのアルバムに収録されているが、それと対照的に逆にキースヴォーカルのラストの曲『Infamy』でキースのヴォーカルと対等にミックのブルースハープが歌い続ける。これほどまでにキースのヴォーカル曲にミックが協力するのは『Happy』以来ではないだろうか。

最初はこのアルバムは前作と同じくミックとキースが2手に分かれてミックの新し物好きのテクノロジーサウンドが主体的となるか、もう少しバラードや長めの曲で大げさに構成された晩年のロックバンドのようなサウンドになるかのいづれかだと思っていた。しかし、そんな予想を大きくいい方向に裏切られた。かなりタイトでかっこいいロックアルバムである。60年代後半~70年代前半の黄金期と比較するのは時代背景が違うのでナンセンスであるが、それらのアルバムとはまた、一味違うが肩を並べる位、かっこいいアルバムとなっている。

キース・リチャーズが昔ある雑誌のインタヴューの中で「俺たちのアルバムは何故か発売してから数年経ってから価値が認められる」というような意味の発言があった。確かにそういった傾向があって『Bridges To Babylon』なんかは実は最初聞いた時は流行のテクノロジーを追い過ぎていて敬遠していたが、後年傑作だと感じる事ようになってきた。しかし、このアルバムは聴いてすぐから傑作と感じられた。聴いてすぐにいいアルバムというのはすぐに飽きるものではあるが、ストーンズは一度はまると飽きることはない

何かだらだらと書いてしまっているが、とにかくこのアルバムはいいアルバムである。最後に敢えて、日本語の曲タイトルを紹介しているが、日本独自の曲タイトルがつくのも久しぶりで面白いしなつかしい。2曲目の『スローで行こう』なんて、オープニングのドラミングが『ワイルドで行こう』を想起するところからつけられたと思われる安易なタイトルで、それがなんかいいんだよね。日本は最近少なくなったが日本独自のタイトルをつける風習があったのだから続けてほしい。

しつこいようだが本当にいいアルバムである。3の『It Won't Take Long』のキース独特のギター音のルーズだけどタイトなオープニングやミュージックビデオやコンサートでしつこく俺がギターを弾いているんだとミックがアピールしてくる4の『Rain Fall Down』、超お気に入りのラブバラード『Streets Of Love』などなど本当は一曲一曲解説したい所だが、とにかくいいってことを言い続けるだけなのでこの辺でやめておく。ミックとキースがどっぷりと組むとこんないいサウンドが生まれるんだということを改めて知らされた。ファンはいつも仲が悪いのではないかと心配するが40年以上も連れ添って一緒に仕事をしている。60を超えても定年退職せず一緒の仲間で仕事をする。自分に置き換えてみてありえるだろうか。今の職場の人とそんなに長期に渡ってイガミ合わずに仕事を続けることができるだろうか。今の時代、夫婦だって結婚後一週間もたたないうちに別れるケースが多いというのに・・・。その事実だけでも奇跡だ。

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